【展覧会】ショーメ 時空を超える宝飾芸術の世界ー1780年パリに始まるエスプリ 感想
ナポレオン時代からの歴史と伝統のメゾンに憧れてショーメの指輪が欲しいと夫に頼み込んだ思い出のジュエリーブランドショーメ。
そんな思い入れのあるメゾンの展覧会が開催されていたので行ってきました。
正直ジュエリーは縁遠く見慣れていないせいか、各メゾンごとの個性や特色など違いがよくわからないので(外国人の顔がみんな一緒に見えてしまうかんじ)、「ショーメとは!」みたいなものを発見できたらいいなという気持ちで行きました。
結論から言うと知識不足すぎて他メゾンと比べてショーメとは!というものはピンとこずに終わったので、他メゾンも勉強し比較しながら各メゾンの特色を今後見つけていきたいと思っています。
ただショーメ単体で見たときにショーメらしさというものは、
自然、特に植物への並外れた観察力と表現力
あらゆる時代や民族のリサーチからのインスピレーション
ナポレオンに気に入られる←急に薄い
というようなものを感じた。
さて。展覧会を見て一番強烈に感じたことは、ジュエリーとは芸術品よりも身近でファッション(洋服)よりも芸術的だということ。
ジュエリーは洋服に比べ劣化が少ない。
今回200年ほど前のメゾン創立期の作品と今年の最新のデザインの商品とが並べて飾られていたが、説明を読まないとまさか両者に200年の違いがあるなんてわからないしどちらが最新のものかも素人目には見分けがつかない。
これはつまりデザイン面でのスタンダードも変化が少ないとも言える。
各地では歴史的衣装展示される展覧会もあるが、これが最新のデザインの洋服と並んだ時にどちらが最新かわからないなんてことは素人でもないだろう。
そのくらい衣服はデザインも変化するし、布地は劣化もする。
絵画などの芸術作品も修復や保存の力もあるものの衣服ほどは劣化しないし200年前のものと最新のものを並べても私には見分けがつかないのではないかと思う。
そういう意味でジュエリーはファッションの一部でありながら非常に芸術品に近いものを感じる。
同時に、ジュエリーは実際に身に着ける姿を容易に想像しやすい。
ショッピングの感覚で見ることができるのだ。
これが芸術品より身近に感じる所以であると思う。
200年前の絵画に当時の人々の生活が描かれていたとしても多少なりとも想像で補わないとリアルには感じにくいが、ジュエリーはまさにこの目の前の品が当時の誰かが身に着けていたのだというリアルを感じ取ることができる。
今回の展覧会はその構成も面白いものだった。
ショーメを身に着けたナポレオン等歴史的な絵画の展示に始まり、
ティアラの実物と200点ほどの模型の展示
そして古代、ルネサンスなど「歴史」外国や東洋文化など「地理」のそれぞれから着想を得てデザインされてきたショーメの作品群
身に着ける芸術としてのショーメ
最後に日本の文化を着想源として作られた品々の展示
一番最後には現代的な演出で光の花吹雪が舞い散る中レーザーの集まる先に今回のショーメ展のために特別に製作されたとされる最新の作品がちょこんと、しかし圧倒的な輝きを放って飾られていた。
私はこの演出の中で最後の作品を見たときに、ショーメのジュエリーとともに古代から世界各国まで旅をして現代の東京に戻ってきたような感覚になり思わずその壮大な旅に感動で涙が出そうになった。
歴史や世界から着想を得ること自体は他の芸術家やデザイナーでもよくある話だがこのような感覚に至ったのは上述したようにジュエリーとは芸術品よりも身近でファッション(洋服)よりも芸術的であるからだろう。
ジュエリーを身に着けてきた人々をリアルに感じながらショーメと共に時空と世界を旅してショーメの歴史も感じることのできる素晴らしい展覧会であった。