【展覧会】没後50年 藤田嗣治展 感想
私の美術を好きになったのは美術が好きな母親からの影響だが、藤田嗣治も小さいころ母親に教えられて知った画家の1人である。
本格的に好きになったのは20代前半にパリを放浪していた時、ジャパニーズショップ?日本のものが置いてある店で藤田の文庫本があったのを、なんとなくパリを放浪している自分と藤田を重ねて(おこがましい!)買って読んだのを覚えている。
そしてその時ポンピドゥーセンターで藤田の絵を見たはずなのだがその記憶はあまりなく。しかし美術館に行くと大抵気に入った絵のポストカードを買って収集するのが趣味の私の手元には3枚のポンピドゥーの藤田のポストカードがあるので、気に入ったことは間違いない。
それからはっきり意識していたわけではないが、ずっと私は藤田が好きだという認識を持っていた(つまりニワカ)。
今年没後50年ということで各地で藤田嗣治の展覧会が行われていて、その集大成ともいえる没後50年藤田嗣治展に行ってきた。
いつものことではあるが気づけば会期が終わりそうな中むりやり作った時間で見にいったため駆け足になってしまったことが悔やまれる。
今回の展示内容はというと…
本当に初期、藤田が美術学校で描いた自画像から、生物画、モディリアーニなどから影響を受けた人物画、ピカソなどから受けたキュビズム。乳白色の女性や猫のシリーズ。
意外ではあったのだが世界恐慌の影響でヨーロッパの空気にしんどくなった藤田が中南米などを旅したときに描かれた、乳白色とはイメージがかけはなれたようなビビットな色使いのリオのカーニバルなどの絵画などのシリーズ。
パリの風景も印象的だった。
やはり藤田の色使いの根源はパリの空の真珠の色といわれる絶妙なグレーの色。
あれはパリで養われた色彩感覚なんだろうなと思う美しい色である。
日本にも帰国し、日本人としてありたいということで日本の墨汁を使ったり日本らしい表現をしたり。
他の画家たちがこのように描くなら自分はこういう切り口でいくと、逆を行く形でオンリーワンの個性を発揮していたように思う。
日本に帰ってきたとき本格的に日本風の絵を描く。
藤田の日本の表現というのは紙の下地を活かして肌の質感を描くという浮世絵の鈴木晴信や北川歌麿の技法の影響を受けている。
そして、そこからニューヨークにうつり、やはりパリが恋しくなってパリに戻る。
そしてずっと入信したいと思っていたカトリックの洗礼を受けて晩年はキリスト教絵画を描く。
私が中世のキリスト教絵画というものが大好きなのもありそれを藤田のタッチでありながらも重厚に描かれているのが私の中でベストオブ今回の見どころだった。
ランス大聖堂に飾ってある壁画も見れたり。
今回時間がなく見るのを端折ってしまったのですが戦争画もあった。
(日曜美術館では戦争画にスポットを当てられていたのは観ました。)
もともと好きな画家だったというのもあったが、中南米と晩年の作品は新しい発見だった。こういうかんじも書いていたのか!と、好きだとかいいながらやはりニワカのせいで全然知らなかった。
藤田の一生を通して見れたという点でかなり見ごたえのある展覧会だった。
前回目黒美術館で開催されていた藤田の紙仕事の展覧会では
絵本の挿絵、日記、手紙など公開されていて、それもまたおしゃれなおしゃれな。
そこではオシャレなデザインとイラストの世界だと思ったのですが
今回は宗教画もそうだし、中南米のものもですし、「絵画」という世界の重厚なものでした。
全部合わせるとすごい点数をのこしていますね。
これからもニワカなりに藤田を追っていきたいと思います!!
あと乳白色の裸体を浮かび上がらせるために後ろに描いたジュイ布とか後ろを黒で塗ったりとかその表現のセンスが素晴らしかった。フランスの蚤の市で集めたアンティーク、フランスの景色などを日本の技で表現するというある意味和洋折衷。
これが私も自分のデザインにいかしていきたい、目指していきたいところなので
大師匠として参考にさせてもらいたいと思います。(おこがましい)